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最高裁判所第三小法廷 昭和42年(あ)2277号 決定 1968年7月16日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人古賀長二の弁護人山口親男の上告趣意は、量刑不当の主張であり、被告人古賀作太郎、同山田隆義、同野口伊佐男の弁護人中川宗雄の上告趣意は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(第一審判決認定の事実関係のもとにおいては、被告人らの兇器準備集合の所為と暴力行為処罰に関する法律違反の所為とは併合罪の関係にあると解するのが相当である。)。また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。(田中二郎 下村三郎 松本正雄 飯村義美)

《参考》第一審判決認定事実の関係部分

被告人A等一〇名は、ほか一名と共謀の上、被告人A、同B、同Cが昭和四〇年一〇月一五日K市U町所在の日興会館に赴いた際、被告人Aがその態度等からみて同市内のいわゆる暴力団に属するものとみられた甲から眼鏡を外せ等と因縁をつけられたのに憤慨し、

一、翌一六日右甲に対し陳謝を求め、同人の対応の仕方等の如何によつては共同して同人又はその仲間の生命身体等に危害を加える目的をもつて、被告人A、同B等において猟銃一挺、日本刀一振、脇差二振、短刀一本、登山用ナイフ一本等を準備し、その余の被告人等は右猟銃等の兇器の準備してあることを知りながら、Y市M町四三番地の三被告人A方、同市A町一番地被告人D方附近路上から自動車三台に分乗し、同日午後四時頃K市H町六番地所在のバー「ロン」(経営者f)附近路上まで赴き、もつて集合した。

二、前同日午後四時過頃、前記バー「ロン」において前記甲及び同人の兄貴分にあたる乙を呼びつけた上被告人Eにおいて右甲の顔面・頭部附近を手拳又は椅子で数回殴打し、被告人Bにおいて右甲の顔面等を手拳で数回殴打し足蹴りにする等の暴行を加え、更に被告人Gを除くその余の被告人等は何れも交々「横着だぞ」等怒号し、それぞれ右甲の生命身体に危害を加えるような態度を示して脅迫し、もつて数人共同し且つ多衆の威力を示して暴行・脅迫をした。

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